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ケース会議を行うタイミングと会議の目的 [その他]

学校でケース会議を行っている方々は、普段、どのタイミングでケース会議を開催されていますか? また、会議開催の目的はどこにありますか?
担任、管理職、スクールソーシャルワーカー、外部の助言者など、立場によっても答えは違うでしょうね。

「本当はもっと頻繁に開催できればよいのだけれども、実際には年に数回やればよいほうだ」という学校では、かなり問題がこじれてきて、先に進めなくなってしまったケースに関してだけ、会議を行っているかもしれません。

ケース会議開催の第1の目的は、当然、子どもへの支援の方針を立てることですが、第2、第3の目的には、他のいろいろなことが含まれていることもありますね。

担任が新任教員で、生徒指導や、クラス運営に苦労している時などは、学年団のベテラン教員などと一緒に会議を開くことで、新任教員がベテラン教員のサポートを得る機会ともなります。

保護者の方と一緒に会議をする際、きちんと保護者の方の意見も聞き、一緒に支援方針を立てていくことで、「先生は、うちの子のことをちゃんと考えてくれているんだ。」と、保護者の学校(教員)への信頼が増すこともあります。保護者との関係作りにも役立ちます。 

私はたいてい、会議のファシリテーションをするために学校に伺うのですが、会議はせず、30分ほどで、一人の生徒について先生方から状況説明を受け、アドバイスをしなければならないことがあります。問題が明確で、使える資源のめども立っている時などは、ある程度のアドバイスや提案もできますが、「なかなか一筋縄ではいかなさそうだな」という印象があり、また、先生方が、「どんなアドバイスをくれるだろう!?」と期待して待っておられのがありありと感じられる時・・・つまり、私のほうに〝荷物を預けられてしまう″感覚を持った時、「次回、少し時間を取って問題解決型ケース会議の手順に従って方針を立ててみましょう。」と、ケース会議の提案をします。
やんわりと、問題解決の役割を、投げ返すために(?)ケース会議を使う、ということになるでしょうか・・・・。

子どもの様子や家庭の状況、これまでやったことなどをいろいろお話しいただいても、その場で解決策を即答することは無理です(できる人はいるかもしれませんが、私には無理。)。これまでいろいろやってきたけれど、うまくいかないから、「専門家」「大学の先生」に尋ねているのに、案外役に立たないんだな。と思われてしまうかもしれません。

しかし、第三者が言ったことに従って何かをするより、先生方がご自分たちで「これを解決しよう。」「これを目標にしよう」と決めて、「これなら自分たちにできそうだ」とご自身が判断した方法で支援を行っていただいたほうが、絶対うまくいくのです。

「問題解決型ケース会議の手順に従って、順番に情報を整理して行くと、できそうなこと、進むべき方向が見えてきます。」

これまでケース会議を効果的に活用したことのない方々だと、そう思えないので、自分たちの間から、「会議をしよう。」という話は出てきません。でも、私は、そのことについて確信を持っているので、「一度、これでやらせてください。」と提案して、問題解決型ケース会議を行います。

ケース会議をやったからといって、問題がすぐに消えてなくなりはしないでしょうが、きちんと定期的にふりかえりをし、目標の修正、支援方法の修正をしながら計画的に進んでいくことで、きっと状況の改善に向かうはずです。

子ども本人の強みを再確認し、先生達ご自身が「自分たちにできることはまだたくさんある。」と力を再確認し、役割分担することで、「一人でこの難問に立ち向かわなくてもいいのだ」という安心感を得る。そういったことも、ケース会議の大事な要素・目的となっています。

皆さんは、どう思われますか?


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Pi Po Pa

馬場先生

こんばんは!

ケース会議。
ある学校では、週に一度、必ず会議を開催しています。
そこでは、校内での「気になる子」を取り上げ、参加している教員やスクールカウンセラー、そしてスクールソーシャルワーカー達で問題の共有をし、支援の方向性を決定し、役割分担をしていきます。

そして、一週間後の会議で、一週間の振り返りと今後の方向性の確認をします。

この学校での会議は、非常に合理的かつ有効に行われている印象をもっています。

何か「特別」なことがあるからケース会議を行うのではなく、日常の子ども達のちょっとしたことを話し合う場としてのケース会議があってもいいのかもしれません。

そのメリットはいくつもあると思いますが、その一つには「私達大人同士の支え合い」の確認ができることにあるかもしれません。


by Pi Po Pa (2013-07-07 02:18) 

ばんば

週に1回の会議、よいですね!
私がアメリカで初めてSSWの実践に触れた時、各学校では定期的にケース会議が行われていて、ある学校では週1回、ケース会議の日が決まっていました。「ケース会議で方針を決めて、本格的に支援が始まる」、個別支援とはそういうもんだ、という意識が育ちました。

日本でも、Pi Po Paさんの知っているその学校のように効果的に会議を活用できる学校が、珍しくない、当たり前の状態になるとよいのにな。と思います。
by ばんば (2013-07-07 12:02) 

自称隊長

学校は大概上意下達方式で回されています。つまり、いくら下の方が良かれと提案したことでも、管理職がそれを良しとしない限り先に進みません。順番間違えると「一般教員が管理職に指図するのか」「管理職の指示を仰がずに勝手な事をするな」と提案を潰されるのがオチです。難しいですね。
by 自称隊長 (2013-07-07 17:54) 

ばんば

自称隊長さん こんにちは。

自称隊長さんのご意見もまた、現実なんです。
だから私も、どこでもかしこでも問題解決型ケース会議をやらせてくださいと頼みこんだりはせず、関心を持ってくれた人や学校、あるいは私と信頼関係のある方が学校の中である程度の力を持っている場合だけ、「これを一回試させて。」と言います。そして、一度させていただければ、私が関わり続けている限りは、継続して問題解決型ケース会議をすることができるようになります。 

問題解決型ケース会議の事を話し始めた頃、「それ、役に立ちそう! もっと教えて!」という人と、「そんなもの、ソーシャルワークとは関係ない。必要ない。」という人の両方がいました。「これまでの日本のソーシャルワークでは誰も使ってこなかった」という意味では、「これまでの日本のソーシャルワークでは」関係がなかったのは確かでしょう。でも、後者の意見は私にとっては「井の中の蛙」の意見でしかありません。アメリカのSSWでは、当たり前のように使われています。でも、対立して嫌な思いをするのは嫌なので、そういうことを言う人には迷惑のかからない所で勝手にさせていただきました。

問題解決型ケース会議のことについて日本で話を始めて2年4カ月経ちました。すこーしずつ、現場で活用する人が出てきました。今も、少しずつ、実践の場を広げています。
執筆中の本が出来上がったら、きっともっと理解者が増えるだろうと期待しています。

上意下達で、新しいことをするのを嫌うところも、他がやっていると同じ事をしたがる、という人は結構います。大勢に流れるのが日本人の特徴でもあります。 

残念ながら、私は、人と違うことをするのが好きなのか、人と同じことができないのか、あんまり、メジャーではないことばかりをやっているようです。。。

問題解決型ケース会議が日本の学校で【常識】になるには程遠いですが、まあ、焦らず、気長に、自分は正しいと思うことを続けます。

あ。そうそう。みなさん、学校で問題解決型ケース会議をする際には、必ず管理職の方に説明をして、許可を取ってからしましょうね。 あとでもめたら損ですから。


by ばんば (2013-07-07 19:42) 

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