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ソーシャルワークの専門性と問題解決型ケース会議 その2 [その他]

こんにちは。秋季研修の案内を出すとすぐにお申し込みの連絡が数件。継続の方がほとんどですが。ありがたいことです。

さて、ブログをされている方ならご存知でしょうが、ブログの管理人だけは自分のブログのどの記事へのアクセスが多いかの記録を見ることができます。このブログでは「ソーシャルワークの専門性と問題解決型ケース会議」の記事へのアクセス数が他の記事に比べてだんとつに多くなっています。

問題解決型ケース会議って何? スクールソーシャルワーク(SSW)って何?そもそもソーシャルワークの専門性って何なの?という方が多いのかもしれませんね。

私は今、アメリカの「SSWのスタンダード」つまり、「スクールソーシャルワーカーは、これは出来てくださいね」という規定についての研究をしています。日本のSSWはまだ始まったばかりで、そう言ったものがないので、スクールソーシャルワーカーとして仕事をしている人の間でも混乱が多いのかな?とも思います。

アメリカで、問題解決型ケース会議はスクールソーシャルワーカーも活用しますが、スクールソーシャルワーカーだけのものではありません。校内支援体制を築き、チームで取り組むために、学校内のスタッフ全員で共有されるものです。そして、一つの技法であって、それだけですべてが解決するという類のものではありません。スクールソーシャルワーカーが、学校内の他のスタッフと協力して子どもの支援を行うために持っている引き出しの一つです。

私はアメリカでSSWを学んだ際、現場(公立学校)でスクールソーシャルワーカーが、実に様々なスキル(援助方法のレパートリー)を持ち、様々な役割を担っていることを知りました。問題解決型ケース会議の手法はその一つで、まずはそれを日本で紹介しています。

でも他にも、親を対象にしたグループワークや、大切な人を亡くした子どもたちのためのグループワーク、マイノリティー(在日外国人や、障害を持った人など)の自助グループなどなど、時間があればやりたいことはいっぱいあります。

私は大学教員であってスクールソーシャルワーカーではないので、現場に関わる際は、「アドバイザー」や「スーパーバイザー」としての関わりとなり、時間的制約も大きいです。それ故、実際にできることは限られていて、残念だな、と思うことがたくさんあります。

以前書いたように、ソーシャルワークの専門性は「価値」「知識」「技術」の3つの柱で支えられています。私が校内ケース会議の支援をする際は、ソーシャルワークの中心的視点・理論である「生態学的視点」「ストレングス視点」が根幹に流れる問題解決型ケース会議を用いて情報を整理、問題の背景要因を考え、支援方法を考えます。支援方法を考える際には、ソーシャルワーカーの持つ情報やスキル(支援技術)のレパートリーの豊かさが鍵となります。

先日、ある学校でケース会議を行い、支援方法を幾つか考えました。計画に基づいて、先生方が子ども本人や親にアプローチしましたが、うまく行った事柄と、うまくいかなかった事柄がありました。ふり返りを行い、うまく行っている事柄についてはそのまま継続、うまくいかなかった事柄についてはアプローチを変えることにしました。

通常私は、先生方の相談を受け、会議をファシリテートするだけにとどめていますが、スクールソーシャルワーカーのいない学校の場合は、たまーに私自身が子どもに会って、親、子、学校のクッション役を務めることもあります。また、先生方のお話を伺う中で、学年全体への働きかけや、保護者向けに話をすることが必要だと感じたり、要請を受けた場合には、時間が許せばその役を担うこともあります。 先生方から取りとめもない現状報告を受けて、必要な事柄が即座に思い浮かぶわけではなく、少なくとも1度は問題解決型ケース会議で情報を整理し、背景要因も多角的に検討したうえで、何が可能か、何が役に立ちそうかが見えてくることがほとんどです。

これが必要かな、あれを試してみるのはどうだろう? あそこのサービスは使えるのかな、あの人とだったらお母さん、話ができるかな?など、色々な案を思い浮かべることができたとき、(自分が思い浮かべられた時ももちろん、会議に参加している方々みんなで案を出し合えたとき)、この先がとても明るく感じられます。

いずれにしても、「問題解決型ケース会議の技法だけ」では役に立たないでしょうが、他の知識や技術と共に問題解決型ケース会議をレパートリーの一つとして持っていることで、チームで、計画的に、そして柔軟に、ソーシャルワークの支援が展開できるのではないかと思っています。

ばんば





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自称隊長

とりあえず、次回も参加させていただく予定です。よろしくお願いします。

せっかく継続して勉強させてもらっているのですが、なかなかうちの自治体ではこれを活かしづらいのが残念です。何故なのか?と考えると、提案しても管理職が止めてしまうことが多いからだと感じます。下っ端教員が会議のやり方を偉そうに提案するなと考える管理職が多いんですよね。ま、次の自治体に移ったら、改めて提案してみます。
by 自称隊長 (2013-09-21 17:56) 

ばんば

自称隊長さん こんにちは。

秋季研修へのお申し込み、ありがとうございます。 継続的に参加してくださる方がたくさんいると、やっていることは間違っていないんだな、と勇気づけられますし、研修をする際にも、役割分担を頼みやすく(!?) スムーズな進行ができ、ありがたいです。

はい。気長に活用の時を狙ってくださいませ。 
先日は、1年ぶりに問題解決型ケース会議を行うという学校へ行ってきました。次回ふりかえりを行う日を決めて帰ってきました。 願わくばその学校での定着を・・・、と思っています。


by ばんば (2013-09-21 18:33) 

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