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保護者を支援チームの一員として迎えるということ [その他]

こんばんは。ばんばです。
今日は、あるところで「家庭の問題を抱える子供に対する支援方法」というタイトルで話をしてきました。たいてい私が講演や研修を頼まれるとき、タイトルやテーマは先方が決めて私に提示してきます。時には、内容に関しても、このような点について触れてほしい、などの要望が出されることもあります。 今日の講演では、「問題意識の低い親」への対応についても触れてほしいという依頼がありました。

確かに学校現場では、「いくら親に言ってもきちんと対応してくれない。」とか、「保護者が『うちは何も悪くない、学校がちゃんと対応してくれないのが悪いんだ』などと言い対応を改めてくれない」など、対応に苦慮していることが多いようです。

でも、私は思うのです。「問題意識の低い親」というとらえ方って、どうなのかなあ、と。
周りは、その人のことを「問題意識がなくて困る」と言っているけれど、その人本人は、実際どう考えているのか?信頼関係がないから、じっくりその人から話を聞くこともできていないだけじゃあないのだろうか。その人は、問題意識がないのではなく、信頼関係のない相手からとやかく言われることに腹を立てているのかもしれない。あるいは、これまでいろいろ努力したけれど、うまくいかず、あきらめてしまっているのかもしれない。あるいは、もしかすると知的に、あるいは精神的に、問題を認識する力が弱い、あるいは低くなってしまっているのかもしれない。だとするならば、「あの人は問題意識が低い」と、その人を非難して、いったい何が生まれてくるのだろう。

すべきことは、「上から目線」でレッテルを張り、非難し、「指導」することではなく、寄り添い、話を聞き、本人に力を回復してもらうこと。一方的に変化を求めるのではなく、一緒に行ったり、やり方を示すこと。周り(子供や友人)に働きかけ、子供の成長を促したり、その人の友人に変化が生じることで、その波及効果としてのその人の変化を促すとか、そういうことなのではないのかなあ、と思っています。

問題解決型ケース会議では、親もチームの一員です。私がアメリカにいた時には、ケース会議の開催に際しては、必ず親が『招待』されました。 私が実習を行っていた地域は、とても貧しい地域でしたし、家族に問題のない家庭を見つけることのほうが難しいぐらいだったと思います。

そもそも学校などほとんど通わず、15やそこらで親になってしまったお母さん。子供の勉強だの、学校だのに興味がなくて当然。そういう親を、「どうしようもない親だ」と非難して、何が生まれますか? 何も生まれないですよね。だから、親が学校に関心を持てるような取り組みをしていました。また、会議に出てきてくれたら、それを評価し、親が気になっていることを話してもらっていました。

親を支援チームの一員として迎えるには、親に対する敬意がないとできないと思います。 問題のない、素晴らしい親だけがチームの一員として迎えられるのではなく、問題を抱えながらも、どうにか子育てをしている、愛情はあるけれどもそれをうまく表現できない、うまく養育できない、そんな親こそ、チームの一員として迎えることで、自信と、親としての責任感と、人との接し方と、・・・・・様々な事柄を学び、高めていってもらう必要があるのではないか。。。 そんな風に思いました。

きれいごと? そうかもしれませんね。でも、それを単なる絵空事ではなく、実現しようとする、社会正義を追及する、それがソーシャルワークの倫理と価値じゃないかな、と思います。

私がいつも言っていることですが、ソーシャルワーカーがすべきは、「指導」でも「矯正」でもなく、「支援」です
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自称隊長

そうですよね。わかっちゃいるんだけれど、なかなか保護者と良好な関係を作るのは難しいと思います。それなりに上手くやっているつもりでも……。

職場の人間関係からして、全ての方と良好な仲を保つのは難しいですねぇ。
by 自称隊長 (2014-01-27 23:27) 

ばんば

大変な思いをしている「当事者」である担任の先生などは、やっぱり余裕がなくなってしまうんですよね。だから、親と感情的にぶつかってしまったりもするのだろうと思います。そういうときに、SSWだとか、第3者が入る意味があるのだと思います。

いつでもどこでも、だれとでも仲良く、って、やっぱり無理なんだと思います。昔学生相談の仕事をしていた時には、友人関係に悩む学生の相談をたくさん受けました。みんなから好かれたいし、みんなとうまくやりたいけれど、疲れてしまう…とかね。 そういう学生には、どこかで誰かから聞いた話の受け売りですが、「人が10人いたら、一人や二人は、どうしても気が合わない人がいて、一人や二人は気の合う人もいて、あとの6人ぐらいは、まあ、良くも悪くもない、普通」ってものなんだよ、などと話したものでした。

私自身も、個人としては、好き嫌いもあるし、うまくいく相手、うまくいかない相手がいますけれど、でも、ソーシャルワークの専門職として人とかかわるときは、関係性がうまくとりにくい相手ほど、慎重に、理解しようと努めるかな。関係性構築は、ソーシャルワークの要なので。

それでもどうしてもうまくいかなければ、その人に害を与えないように、その人がほかの人から支援を得られるように手はずを整えて、自分がその人とあまりぶつからないでよいようにするべきかな、と思います。

担任の先生は、生徒や保護者が気の合わない相手であっても、なかなか担任を交代ってできないですし、交代したら、ほかの人にも影響が大きいし、担任の先生が低い評価を受けてしまったりするから、難しいですよね。だからこそ、チームアプローチが大切なんですが。。。そのとき、教員同士の関係が悪いと、厳しいですよね。
by ばんば (2014-01-28 22:43) 

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