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ソーシャルワークの専門性と問題解決型ケース会議 [その他]

早く第5回の報告をしなければ、と思いつつ、他の事ばかり書いていますが、今回のこのテーマは、第5回の研修も踏まえての記述です。

私が「問題解決型ケース会議」を紹介し始めた当初、「ソーシャルワークの通常の技法を知っていればよく、そんなものは必要ない。」と、私に面と向かって言った人がいました。1,2年たった後にも、また別の人が「あんなものはソーシャルワークじゃない」と、誰かに言ったのが、私の耳に入ってきたことがありました。
でも、最近あまりそういう声が聞こえてこなくなりました。私が気にしなくなったからなのかもしれませんが。。。否定的な発言をしたその両人とも、問題解決型ケース会議についての知識は何もなかったはずです。ただの食わず嫌いだと私は思っています。

ソーシャルワークの専門性は、「価値」と「知識」と「技術」の3つの柱に支えられています。「価値」の中には、先に書いた「子どもの権利を大切にする」ということも含まれます。たまに「子どもに対する気持ち」ばかりを強調し、理論や技術を軽視する人もいるようですが、専門職である以上は、「気持ち」を、知識と技術で具現化する力が必要です。

問題解決型ケース会議は、システマティックで、効率的な方法なので、身につけると役に立つ技術ですし、ソーシャルワークの「価値」である、人間尊重や社会正義その他、ソーシャルワーカーの倫理綱領に書かれている事柄や、児童福祉法や子どもの権利条約などに書かれている事柄などをふまえて行った時、その効力は大きなものがあります。

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ソーシャルワークの専門性を身につけるために、大学では、理論についての講義の授業を受けた後、演習の授業を受け、現場で実習を行い、そして、専門家として就職して仕事をしていきます。

今期も問題解決型ケース会議の研修を5回行い、やはり、もどかしさを持って終了しました。研修を受けた人の大半が、問題解決型ケース会議が有効だと頭では理解しても、現場で活用できないというのです。「現場で、これをやろうと、言えない。」「ケース会議というだけで、拒絶される。」「1時間もかかると言ったら、それだけで受け入れられない」などなど、現場で試してみることのできない理由(言い訳??)が並びました。「演習」ばかりでなく、「現場実習」がひつようなんですけれどね~。どうやったら、「現場実習」ができるのだろう???

講師として呼んでくだされば、学校に伺って、実際の会議をファシリテートして見せますし、先生がファシリテートするのをサポートすることもできるんですが、うーん。。 現実には、今定期的に訪ねている数校で手いっぱいのような気もするし。。。

何か良い案ありませんかねえ。。

ばんば

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子どもの権利保障とケース会議 [その他]

先日、第5回研修を無事終えたので、その報告もしなければいけませんが、その前に。。

今週は、先に書いた医療機関での研修も含め、3つ外部での講演・研修を行ってきました。このブログは、問題解決型ケース会議の研修についてのブログですし、表に向けて発信している事柄は、ケース会議のことが多いので、「馬場は、ケース会議のこと、しかも、そのモデルの事にしか関心がない」と勘違いしている人もいるのではないだろうか。。。と時々思ったりするのですが、そんなことはありません。

今日は、「『子どもの権利に関する条例』を読む・耕す・使う ~スクールソーシャルワーク実践から考える~」というテーマで、子どもの権利について話をしてきました。 このテーマ、私が考えたんじゃありません。先方からの指定だったのですが、よくわからないですよね。「条例を読む」は分かる。「条例を使う」もまあなんとなくイメージできる。でも、「条例を耕す」ってなんだ???  まじめに、「耕す」の、土を掘り返す以外の意味ってあるんだろうか、と調べてしまいました。。。  

。。。まあ、それはともかく、ソーシャルワークの価値や、スクールソーシャルワークの支援過程や、スクールソーシャルワークで扱っている問題と絡めて、子どもの権利について話しました。 支援過程には、ケース会議も入ってきます。ケース会議は、その実施において、子どもの権利保障を促進するものになっていなければいけません、

そこで、問題解決型ケース会議が、どのように子どもの権利保障とつながるかをここで少しお話しします。
まず、問題解決型ケース会議では、本人や、保護者にも会議に参加してもらうことを当然のことと考えています。会議の場で、自分の思いを表現してもらう。どうしたいのか、どうしてもらいたいのか、という本人の意向を聞く。また、、何を目標にしてやっていきたいか、自己決定の機会を提供する。こういった事柄一つ一つも、子どもの権利保障につながる行為と思われます。

そうはいっても、日本の学校では、まだまだケース会議に本人や保護者が参加できる機会は少ないです。それならば、会議の資料を準備する段階で、本人や保護者と会って、「本人の強み」や、「本人の意向」などをあらかじめ聞いておき、それを会議での支援方針の検討などの際に生かすことが必要です。

また、大人だけで集まって話し合って決めた事柄は、実際に本人が同意しなければ、結局活用できないまま、流れていってしまう危険性もあります。会議の後には、大人たちがどんなことを話し合い、どのように支援しようと考えているかを本人に伝え、本人の意向をふまえて、支援を実施します。

どんなに子どものことを気にかけていても、それが的外れな方法であったら役に立たないかもしれず、子どもの最善の利益につながりません。

・・・・普段、ケース会議の進め方の話ばかりしていますが、一応、その裏には、子どもの権利、また、子どもだけではなく、会議に参加する大人たちの権利の保障なども考えているんですよ~。というお話でした。

ばんば
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他領域での活用 [その他]

先日、ある大きな医療機関で、看護師さん40人余りに対して、問題解決型ケース会議の研修をしてきました。時間は1時間半。今回は、問題解決型ケース会議のことを初めて聞く人たち、しかも、普段私が接している学校関係の人ではなく、領域外の医療機関の方々が、仕事の一環として出席される研修です。演習も入れないと話を聞いているだけではよくわからないだろうけれども、会議のすべての過程をシミュレーションする時間はもちろんない。
さあどうしようか?? IBA研修にも出席されているあるスクールソーシャルワーカーさんにもアイディアをいただいて、「背景要因を多角的に分析する」ことに焦点を当てたワークをしてみました。

事例はあらかじめ病院側から提示していただいておりましたが、1事例15行程度の、問題の状況説明のみ。通常私が問題解決型ケース会議をする際には、あらかじめアセスメント表を埋めておいてもらうので、今回の研修で提示された情報は、通常、会議前に会議参加者が持っている情報量の10分の1以下。
まあ、そんなこんなで、いろいろ工夫を余儀なくされましたが、

問題の明確化から順番に進み、系統的に議論を展開していく、背景要因を多角的に分析、アセスメントすることなど、まあいってみれば、問題解決型ケース会議に限らず、ソーシャルワーク実践の基本となる部分をお伝えしてきました。

6-7人で一グループになって演習を行いましたが、もちろん、いつもの「3つの約束事」はお伝えしました。
皆さん熱心に参加してくださりました。

学校以外の領域で試したのは、初めてでしたが、結構使えるな、と思いました。

ばんば
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まとめ票の活用 [その他]

こんにちは。小・中・高校では、今日が終業式だったところも多いことと思います。早く大学も夏休みにならないかなー。東京学芸大学は30日まで授業です。

さて、今日はタイトルの通り、「まとめ票の活用」についてです。
通常、会議で出た発言をホワイトボードなどに書きだし、それを会議後に清書してまとめ票を完成させます。けれども、あるスクールソーシャルワーカーさんは、ソーシャルワーカーと教員と2人での話し合いの際にでも、まとめ票(A4)を机の上において、それに直接書き込みながら話をすることがある、ということを以前話しておられました。そのことを聞いた際は、「ふーん。そういう使い方もできるかもね。」ぐらいに思っていたのですが・・・。

今日私も実際にそのような使い方をしました。以前ブログで、人数が少ない(4-5人)場合には、まとめ票を拡大コピーして机の上に広げ、ホワイトボード代わりにして会議をしたという話をしましたが、その際には、通常のまとめ票(A4一枚)を、A3サイズで2枚にまで拡大していました。今日は、私を入れて4人の会議を想定していたので、もう少し小さめで、A3サイズ1枚に拡大したもので大丈夫かもしれないな、と思い、A3二枚バージョンと、A3一枚バージョンの2種類持っていっていました。

ところが、実際には私と担任の先生と2人だけ。「あれ? これではケース会議にならないぞ。。。」 「でも、今日は問題解決型ケース会議の手順で情報を整理して、支援方法を考える予定だったし。。。。」 少し戸惑いましたが、その先生も、私と話をするために時間を空けて待っておられたのですし、「うーん。。。2人だけだけど、このステップでやってみるかあ。」と決心し、ステップの順番に担任の先生の話を聞きながら、拡大版(A3一枚バージョン)まとめ票に私がいつもの見苦しい字で書きいれていきました。

支援方法のブレインストーミングをしている際に、他の先生が一人入って来られたので、その先生にも話に加わっていただくと、やはり、アイディアに広がりが出ました。 そして、「じゃあ、こういう感じで、やってみましょうか。」と、支援計画を立てることができました。

結論:
①2人の話し合いの時にでも、問題解決型ケース会議の手順で考えていくと、情報が整理でき、支援方法を具体的に考えるところまで進んでいくことができる。
②しかし、やっぱり、会議参加者は多いほうが、アイディアが膨らむし、多角的な見方がしやすいから、できることなら大勢(最低4人)でやりたい。

担任の先生には、手書きのまとめ票をパソコンで打ち直してA4サイズのものをお渡しします。それをもとに、学年の他の先生方とも話し合って、他にもできることがないか考えてもらい、実際の支援を進めていってもらえたらと思っています。

ばんばの実践報告でした。

追伸
あ、ちなみに、昨日は別の学校で、10人ほどでの問題解決型ケース会議をしてきました。

いずれのケースも、支援が功を奏して良い方向に進んでいってくれることを期待しています。
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ケース会議を行うタイミングと会議の目的 [その他]

学校でケース会議を行っている方々は、普段、どのタイミングでケース会議を開催されていますか? また、会議開催の目的はどこにありますか?
担任、管理職、スクールソーシャルワーカー、外部の助言者など、立場によっても答えは違うでしょうね。

「本当はもっと頻繁に開催できればよいのだけれども、実際には年に数回やればよいほうだ」という学校では、かなり問題がこじれてきて、先に進めなくなってしまったケースに関してだけ、会議を行っているかもしれません。

ケース会議開催の第1の目的は、当然、子どもへの支援の方針を立てることですが、第2、第3の目的には、他のいろいろなことが含まれていることもありますね。

担任が新任教員で、生徒指導や、クラス運営に苦労している時などは、学年団のベテラン教員などと一緒に会議を開くことで、新任教員がベテラン教員のサポートを得る機会ともなります。

保護者の方と一緒に会議をする際、きちんと保護者の方の意見も聞き、一緒に支援方針を立てていくことで、「先生は、うちの子のことをちゃんと考えてくれているんだ。」と、保護者の学校(教員)への信頼が増すこともあります。保護者との関係作りにも役立ちます。 

私はたいてい、会議のファシリテーションをするために学校に伺うのですが、会議はせず、30分ほどで、一人の生徒について先生方から状況説明を受け、アドバイスをしなければならないことがあります。問題が明確で、使える資源のめども立っている時などは、ある程度のアドバイスや提案もできますが、「なかなか一筋縄ではいかなさそうだな」という印象があり、また、先生方が、「どんなアドバイスをくれるだろう!?」と期待して待っておられのがありありと感じられる時・・・つまり、私のほうに〝荷物を預けられてしまう″感覚を持った時、「次回、少し時間を取って問題解決型ケース会議の手順に従って方針を立ててみましょう。」と、ケース会議の提案をします。
やんわりと、問題解決の役割を、投げ返すために(?)ケース会議を使う、ということになるでしょうか・・・・。

子どもの様子や家庭の状況、これまでやったことなどをいろいろお話しいただいても、その場で解決策を即答することは無理です(できる人はいるかもしれませんが、私には無理。)。これまでいろいろやってきたけれど、うまくいかないから、「専門家」「大学の先生」に尋ねているのに、案外役に立たないんだな。と思われてしまうかもしれません。

しかし、第三者が言ったことに従って何かをするより、先生方がご自分たちで「これを解決しよう。」「これを目標にしよう」と決めて、「これなら自分たちにできそうだ」とご自身が判断した方法で支援を行っていただいたほうが、絶対うまくいくのです。

「問題解決型ケース会議の手順に従って、順番に情報を整理して行くと、できそうなこと、進むべき方向が見えてきます。」

これまでケース会議を効果的に活用したことのない方々だと、そう思えないので、自分たちの間から、「会議をしよう。」という話は出てきません。でも、私は、そのことについて確信を持っているので、「一度、これでやらせてください。」と提案して、問題解決型ケース会議を行います。

ケース会議をやったからといって、問題がすぐに消えてなくなりはしないでしょうが、きちんと定期的にふりかえりをし、目標の修正、支援方法の修正をしながら計画的に進んでいくことで、きっと状況の改善に向かうはずです。

子ども本人の強みを再確認し、先生達ご自身が「自分たちにできることはまだたくさんある。」と力を再確認し、役割分担することで、「一人でこの難問に立ち向かわなくてもいいのだ」という安心感を得る。そういったことも、ケース会議の大事な要素・目的となっています。

皆さんは、どう思われますか?


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夏の研修?? [その他]

春季研修が第4回目となると、もうその次で終わり、なので、その後はどうする? のお知らせをしないといけませんね。秋学期が始まったら(10月以降) 秋季研修はいたしますが、夏にも何かできると良いな~と思っています。

昨年は、<子どもの問題>支援システムプロジェクトの企画として、7月に講演・実践報告会とワークショップを行いました。また、別の機会に大阪や名古屋でも研修をさせていただきました。今年度、春季研修期間中にも、「遠すぎて普段の研修には行けないけど、研修を受けたい。」と言ってくださる方が何人かいらっしゃいましたので、8-9月のどこかで1回ぐらい何かできないかな、と考えています。 

私が知っている問題解決型ケース会議は、学校内で活用するために作られたものですが、問題解決型会議(Ploblem solving meetings)自体は、形を変えつつ、いろいろな領域で活用されているようです。
実際私も、今度、教育・福祉以外の(近接領域の)方への研修で、[問題解決型]のお話しをさせていただくことになりました。SSWと同様、家族や地域の他機関と連携してお仕事をされる専門職の方であれば、学校以外でもアレンジしながら大いに活用可能だろうな、と思っています。

したがって、直接的には学校に関係がない方でも、家族・機関内連携(チームアプローチ)、他機関連携の必要な職場におられる方にも、ご参加いただける研修会を行う、というのも良いかもしれないですね。。

・・・思い付いたまま、つれづれに書くのは、この辺にして、またそのうち、・・・近々・・・、正式にご案内ができればと思います。

(開催日程・開催場所などなど)何かご希望ありましたら、お知らせくださいませ。 

ばんば

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実践あっての研修、研修あっての実践 [その他]

最近、ある学校でケース会議を行いました。先生も保護者も一生懸命なのだけれど、問題解決に結びつかず、ちょっと行き詰ってしまっているようなケースの検討にサポートを依頼されたのです。その学校では問題解決型ケース会議をしたことがなく、初めにいただいた依頼は、「2時間で現状の確認と課題の検討を」というものでした。普段、1時間いただくのもやっとの中で、問題解決型ケース会議を行っている私は、「2時間『も』あるのなら、ちゃんと目標を立てて、支援計画を立てるところまでやりましょうよ。」と提案し、会議を行いました。2時間もあったので、ゆっくり意見交換し、支援の役割分担と評価基準の確認(課題だったステップ6-7)もきちんと行って終わることができました。

今回は、比較的人数の少ない会議だったので、普段ホワイトボードを使うところを、机の上にA3用紙を広げて会議で出た発言を書いて行きました。「人数が少ないときは、これでもいけるかな。」「でもやっぱり字のきれいな人に書いてもらった方が良いな。。」とか、会議を進めながら、いろいろ確認をしていました。(私が書いたのですが、私の字は汚くて自分でも読みづらい。。)
こういう言い方は良くないのかもしれませんが、実践こそが良い練習の場でもあります。
なかなか大変なケースであるにもかかわらず、先生方が会議終了後、「(会議が)楽しかった。」とか、「これをもとに学年でも取り組んでいきます。」などと言ってくださったりしたので、先生方がちょっと元気になってくださったのかな、と思えた会議でした。
実践と研修との繰り返しで、私もスキルアップし、つながりの輪を広げていけると良いな、と思います。

ばんば



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